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研究

酸化ストレスとレドックス制御分子 

レドックス制御分子に関する研究

われわれはこれまで共同研究として生体内のレドックス制御に関係するチオレドキシン(TRX)、チオレドキシン2(TRX2)やグルタレドキシン(GRX)について研究を進め、そのなかでもTRX2について近年特に力を傾注してきました。

多くの生物は、ミトコンドリアで酸素を利用した酸化還元反応を行い、エネルギー源としてATPを産生し生命を維持しています。一方、酸素はそれ自身は安定に存在する分子でありますが、ひとたび活性化されると強力な酸化作用を有し生命を脅かす存在となります。また、紫外線をはじめ、酸化剤や細菌感染など様々な外来要因によって活性酸素が発生し、生体は常に酸化ストレスにさらされています。従って、生体は酸化ストレスから身を守るため、内部の還元環境を維持する機構を発達させてきました。

活性酸素に対する細胞側の防御・調節機構として、還元因子グルタチオン(GSH)、グルタレドキシン(GRX)、チオレドキシン(TRX)などを中心としたレドックス制御機構が存在します。このうちTRXは生体内で多彩な生物活性を有することがわかっています。例えば、TRXはNADPH、チオレドキシン還元酵素依存性に、過酸化水素・ヒドロキシラジカルなどを消去するラジカルスカベンジャーとしての活性や、NF-kB、AP-1、PEBP2/AML1 などの転写因子やグルココルチコイドレセプター、エストロゲンレセプターなどの核内レセプターとDNAとの結合を調節する活性なども有しています。

チオレドキシン2(TRX2)は、ミトコンドリア局在型チオレドキシンであり、チオレドキシンと同等の還元能があることが報告されているもののその機能は不明でした。われわれが淀井らとの共同研究において外来から導入したDNAと高頻度に相同組換えをおこすトリ B 細胞株 DT40を用いて、TRX2コンディショナルノックアウト細胞を作成したところ、TRX2発現抑制により細胞死が誘導され、TRX2が細胞生存のための必須分子であると考えられました。また、同時に細胞内活性酸素種の増加及び細胞内の抗酸化ストレス因子であるグルタチオンの減少を認めました。これらは、TRX2発現抑制により、細胞内の酸化ストレスが増加していることを示唆しています。また、TRX2発現抑制によりチトクロームCの放出、caspase-9とcaspase-3の活性亢進を認め、アポトーシス細胞の増加を認めました。TRX2はミトコンドリアの還元 環境を維持し、活性酸素種の発生を抑制している機構の重要な一部であると考えられ、ミトコンドリアを介したアポトーシスを制御している可能性が示唆されました。

今後、ミトコンドリアを標的とした新たな癌治療への展開を目指し研究を進めています。

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