京都大学では、新しい肺移植チームを組織し、生体肺移植および脳死肺移植プログラムを再開しましたのでご報告申し上げます。
平成18年3月21日に、京都大学で脳死ドナーからの両肺移植を受けた患者さんが重篤な脳障害を発症しお亡くなりになったのを契機に京都大学では肺移植を自粛いたしました。自粛期間中には、多くの方々に大変ご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます。
平成19年10月に岡山大学から伊達が京都大学呼吸器外科の教授として赴任しました。伊達は、日米通算104例の肺移植の経験があります。岡山大学では59例の肺移植(脳死肺移植12例、生体肺移植47例)を執刀しましたが、5年生存率は80%を超えており、世界で最も良好な成績です。伊達が中心となり、シミュレーション、セミナー、会議などを通じて、チームワークのよい新しい肺移植チームができあがりました。また、手術を安全に行うためのマニュアルも完成しました。
そして、平成20年6月5日に再開第一例目の生体肺移植を6歳の女児に行いました。人工呼吸器で7か月も生命を維持していた重篤な子供さんでした。母親からの肺の一部を移植する生体肺移植は無事終了し、10か月経過した現在では、社会復帰を果たしています。その後、合計4例の生体肺移植(大人2例、小児2例)を行いましたが、いずれも順調に経過しています。新しくなった肺移植チームは、大変よく機能しています。
平成21年3月13日には、医の倫理委員会から脳死肺移植プログラムの再開の承認もいただきました。すでに、4名の患者さんが日本臓器移植ネットワークに登録し、脳死ドナーの出現を待機しています。また、約10名の患者さんが近日中に待機登録を行う予定です。
呼吸困難で苦しむ患者さんを一人でも多く救命できるよう、今後とも努力してまいります。
平成21年3月22日
呼吸器外科教授 伊達洋至
肺移植に関する問い合わせ先
京都大学肺移植コーディネータ
松本いずみ
E-mail : izumima@kuhp.kyoto-u.ac.jp
Tel : 075-751-4975
Fax
:
075-751-4974