京大呼吸器外科 京都大学医学部附属病院呼吸器外科

京大呼吸器外科 京都大学医学部附属病院呼吸器外科

ごあいさつ

伊達洋至( 京都大学大学院医学研究科器官外科学講座呼吸器外科学 教授)

 平成19年10月1日より和田洋巳前教授の跡を継ぎ、呼吸器外科教室をおあずかりすることになりました伊達洋至(だて ひろし)です。岡山大学腫瘍・胸部外科より異動してまいりました。自己紹介を兼ねて、ご挨拶をさせていただきます。

 私は、岡山で生まれ、幼少期を西宮と京都で過ごしました。中学1年生のときに、岡山にもどり、地元岡山の中学・高校・大学・大学病院(腫瘍・胸部外科)に籍を置きました。
岡山大学大学院を卒業した後、米国ワシントン大学に留学し、世界で初めて肺移植を成功させたCooper教授の指導を受けました。呼吸器外科分野の世界的中心人物から指導を受け、研究の重要性や肺移植のすばらしさを学んだことは、私の呼吸器外科医としての目線を飛躍的に高いものにしました。ECFMGの資格をとり、クリーブランドクリニックとワシントン大学で肺癌などの悪性腫瘍を中心とした約500例の手術、35例の肺移植手術を経験することができました。
平成10年には、岡山大学において日本で初めての生体肺移植を執刀し、成功しました
。その後の9年間で59例の肺移植(脳死肺移植12例、生体肺移植47例)を行い、5年生存率80%という世界でも類のない良好な成績を残すことができました。また、肺癌などの悪性腫瘍に対する multimodality therapy、胸腔鏡下手術、多施設共同研究、トランスレーショナルリサーチにおいても、世界にアピールできる仕事ができました。
このようなことが可能であったのは、恩師である清水信義岡山大学名誉教授の時代から受け継がれていた自由な雰囲気と協力を重んじる教育体制が教室内にあったからだと思います。

 さて、このたび、実に36年ぶりに京都にもどってまいりました。一科学者として新たな可能性に挑戦したいという気持ちになり、自分自身で決断をいたしました。京都大学呼吸器外科教室は昭和16年に結核研究所として誕生し、長石忠三先生、寺松孝先生、人見滋樹先生、和田洋巳先生についで私が5代目の教授となります。同門が300名強であり、関連病院を含めると年間約2,000例の肺癌手術を行っている呼吸器外科としては日本で最大級の教室です。歴史の重さとその重責をひしひしと感じております。うれしいことに、教室には優秀な若手医師が多数おります。宝石の原石である彼ら彼女らが、きらきらと輝けるようにするのが私の役目です。私がこの文章を書いております教授室には、“龍になれ雲自ら従う”という長石忠三先生の教訓が掲げられています。

 私の中では、肺移植と肺癌などの悪性腫瘍の治療は、車の両輪です。どちらの分野も精力的に取り組んでまいりたいと思っております。肺移植に関しては、残念ながら現在自粛中でが、すでに関係各位との再開に向けた話し合いなどを開始しています。良好な協力体制を確立すべく十分に準備して、いい形での再開をめざしています。
伝統ある呼吸器外科教室が、これまで以上に発展しますよう、皆様の御協力をお願い申し上げます。

平成19年11月
京都大学大学院医学研究科器官外科学講座呼吸器外科学 教授
伊達洋至

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