肺移植後予後や移植肺の機能に影響を与える臨床的因子の検討
患者さんへ
研究の名称 「肺移植後予後や移植肺の機能に影響を与える臨床的因子の検討」
本研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を受けて実施しています。
研究の目的・意義についてです。臨床肺移植は従来の治療に反応しない重症慢性進行性肺疾患の治療法として確立され、現在世界中で年間2000例以上の肺移植が実施されていますが、肺移植後の生存率は、肝・腎・心など他の臓器に比べ不良であることが知られています。術後成績の向上には術後早期の移植肺機能不全の予防や治療、慢性拒絶の克服、感染症や悪性腫瘍の発生といった免疫抑制の副作用対策が必要で、周術期や術後の管理にさらに進歩が必要と考えられています。
一方で、本邦での肺移植後の生存率は世界的にみても良好なデータを示しております。また、本邦では、脳死ドナー不足を克服するため、脳死肺移植を待てないとされる症例に対する生体肺移植、メディカルコンサルト医によるドナー肺の医学的状態の評価と共有など、海外とは異なる状況下で肺移植医療がすすめられているのが特徴です。また肺移植を受けられる方の疾患も、海外とは異なる状況であることが知られてきました。
京都大学においても、これまで200例以上の肺移植を施行しております。上記の状況から、京都大学での肺移植を受けられた患者さんにおける、術前や手術中、術後経過での様々なデータを検討し、何が肺移植後の予後や移植肺の機能に影響を与えるかを検討することは、本邦における肺移植後患者さんの術後の成績を改善する周術期管理、術後管理の確立に寄与し、海外の肺移植医療にとっても参考になる知見を提供できると考えます。そのため、京都大学呼吸器外科では当科にて2002年4月から2019年12月までに脳死肺移植・生体肺移植を受けられた患者さんの臨床データを利用させていただくことといたしました。
研究実施期間は、倫理審査承認後から3年間です。
対象となる情報の取得期間は、2002年4月1日から2020年12月31日の間に、京都大学医学部附属病院呼吸器外科において、肺移植(脳死肺移植・生体肺移ともに含む)を施行した患者さんになります。
情報の利用目的・利用方法は、診療を受けていただいた際に記録されるデータを、上記の目的のために、氏名などの個人情報を削除し、匿名化して収集し、解析することです。
利用する情報の項目は、主に、当院が診療情報として保管しているドナー肺の医学的情報(年齢、性別、喫煙歴、血液検査、画像所見、喀痰培養検査結果、HLAタイピングなど)、当院で移植前に行ったドナー肺の体外循環 Ex-vivo lung perfusion: EVLPによる評価の有無や評価中の生理データ・酸素分圧・画像所見など、レシピエントの術前(手術時の年齢、性別、肺移植に至った原因疾患やその経過、肺移植術前の既往症や併存疾患、身長、体重、血液検査など)、手術時(術式、虚血時間、出血量、輸血や体外循環使用の有無など)、術後経過(気管切開の有無、急性拒絶反応の有無、抗HLA抗体発症の有無、人工呼吸管理期間、術後画像経過、術後呼吸機能経過、喀痰培養、血液検査など)、手術から最終フォローアップ、慢性拒絶の発症、死亡までの期間などです。研究対象者またはその代理人が求める場合、収集した情報は破棄されます。その場合も患者さんには、いかなる不利益もありません。京都大学研究に用いた臨床データは、論文発表してから少なくとも10年以上は厳重に保管させていただきます。患者さんには臨床データ利用の目的と趣旨をご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
本研究は呼吸器外科奨学寄附金により実施されます。利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規定」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査されます。
本研究に対してご質問やお問い合わせ(患者さんもしくは代理人)は、呼吸器外科担当医師または当科研究担当者(連絡先1)までお申し出ください。また、京都大学医学部附属病院にも相談窓口(連絡先2)を設けております。
研究責任者
京都大学 呼吸器外科 教授 伊達 洋至
情報の管理に関する責任者
京都大学 呼吸器外科 教授 伊達 洋至
連絡先
1. 京都大学 呼吸器外科 助教 田中 里奈
TEL: 075-751-4975 E-mail: satonat@kuhp.kyoto-u.ac.jp
2. 京都大学医学部附属病院 相談支援センター
TEL: 075-751-4748 E-mail: ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp