肺移植後拒絶および炎症性病変の実態を解明するための遺伝子解析研究
研究課題「肺移植後拒絶および炎症性病変の実態を解明するための遺伝子解析研究」
1.研究の名称
肺移植後拒絶および炎症性病変の実態を解明するための遺伝子解析研究
2.研究目的
内科的治療に反応せず、進行する肺疾患の治療法として肺移植が行われます。これまでわが国で行われた肺移植では国際的なデータと比べて良好な成績を残していますが様々な課題が残っています。肺移植後の患者さんにおいて慢性移植肺機能不全(chronic lung allograft dysfunction ; 以下CLAD)は今のところ病因もはっきりしておらず確立された治療もありません。CLADは移植された肺に対する慢性拒絶反応と考えられ、肺移植後の重要な予後規定因子であり、これを予測、コントロールすることが課題となっています。
臨床現場において、肺移植後拒絶反応の診断は、肺という臓器の特性上、生検による病理組織診断の施行が非常に困難で、実際にはX線診断・呼吸機能検査・臨床症状等を総合的に判断して拒絶の診断を行っているのが現状です。肺移植では採血検査などでわかるような拒絶反応や感染などの炎症反応に対する信頼のおける指標がなく、このようなCLADに至る病変のパラメーターとなりうる検出法の確立が急務です。本研究の目的は、免疫反応を抑制する因子や活性化する因子(例えば、FOXP3、PD-1関連遺伝子、種々のインターロイキン、ケモカイン、Regnase-1、Neutrophil Extracellular Trapsなど)、CLADと相関すると報告されるドナーテロメア長などを多角的に測定・検討することで、拒絶反応の指標になるようなパラメーターを確立し、CLADの予防・治療に寄与し、肺移植患者さんの予後の改善に貢献することです。
3.研究期間
研究期間は倫理審査委員会の承認日から2021年10月31日までです。
本研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を受けています。
4.研究機関の名称・研究責任者の氏名
京都大学呼吸器外科教授 伊達洋至
5.試料・情報の利用目的・利用方法
本研究は、2008年1月1日以降、これまでに京都大学医学部附属病院で肺移植が施行された患者さんを対象とした、後ろ向き研究です。なお、検討する因子は今後追加される可能性があります。後ろ向き研究は、すでに通常診療で得られたデータのみを利用する研究ですので、あらためて文書による同意取得は行いません。この情報公開文書を京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学講座ホームページに公開し、本研究へのデータ提供を拒否する機会を保証します(オプトアウト)。
また、本研究で得られたデータを後日、他の研究機関との共同研究も含めた別の研究に利用することがあるかもしれません(二次利用の可能性)。現時点で具体的な二次利用の計画はありません。二次利用の際は、倫理審査委員会において改めて審査、ならびに研究機関の長の許可を受けたうえで、研究を行います。本研究に参加していただいた患者さんに何らかの負担やリスクが生じる場合に限り、再同意を取得します。負担やリスクを生じない場合も、京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学講座ホームページにおいて、連絡先とともに二次利用を公表し、二次利用を拒否する機会を保証します。
6.利用または提供する試料・情報の項目
本研究では、研究機関が終了するまでに得られた、末梢血保存検体、肺組織検体、臨床データ(自覚症状、喫煙歴、質問表、胸部画像、呼吸機能検査、血液検査、治療内容、経過、予後など)を利用します。
7.オプトアウトの保証
この情報公開文書を読み、 すでに得られたデータを後ろ向き研究で利用すること、検討する因子の追加、あるいは現時点でデータの二次利用に同意いただけない場合、お手数ですが、下記の担当医師または病院相談窓口まで御連絡下さい。
同意拒否の御連絡をいただいた場合、順次保管している研究用データを破棄します。ただし、同意拒否の時点ですでに研究に使用され結果が得られていた場合には、そのデータに関しては使用される可能性があります。
8.当該研究を実施するすべての共同研究機関の名称及び研究責任者の氏名
研究責任者
京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科 教授 伊達洋至
研究分担者
京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科 准教授 毛受暁史
京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科 講師 中島大輔
京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科 講師 濱路政嗣
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 院内講師 大角明宏
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 豊 洋次郎
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 田中里奈
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 山田義人
京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 栢分秀直
京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科 教授 平井豊博
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科 助教 小熊 毅
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科 助教 谷澤公伸
京都大学大学院医学研究科 呼吸器内科 大学院生 古郷摩利子
京都大学医学部附属病院 リハビリテーション科 助教 田辺直也
京都大学大学院医学研究科 呼吸不全先進医療講座 特定准教授 半田知宏
京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学 特定准教授 佐藤 晋
京都大学大学院医学研究科 分子生体統御学講座医化学分野 教授 竹内 理
京都大学大学院医学研究科 免疫・膠原病内科 大学院生 夜久 愛
京都大学大学院医学研究科 放射線腫瘍学・画像応用治療学 教授 溝脇尚志
京都大学医学部附属病院 放射線治療科 助教 井上 実
9.試料・情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科 准教授 毛受暁史
10.個人情報等の取り扱い
本研究に用いるデータは京都大学大学院医学研究科呼吸器外科学講座において匿名化されたうえで、解析を行います。データ管理は個人情報保護の指針に従い、厳重に行われます。個人情報(氏名・年齢など)に関わるデータは研究室内の施錠可能な引き出し内に保管管理され、ID/パスワードによってアクセスできる研究者は限られます。匿名化されたデータや研究結果は、学会や学術雑誌に発表されることもありますが、患者さんのプライバシーは十分に尊重されます。患者さんの個人情報が外部に公表されることは一切ありません。
11.研究資金・利益相反
本研究は、京都大学大学院医学研究科 呼吸器外科の研究費(奨学寄附金)を用いて行われます。また、本研究は特定の企業との関連はありません。利益相反については、「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、「京都大学臨床研究利益相反審査委員会」において適切に審査しています。
12.ほかの研究対象者等の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲での研究に関する資料の入手・閲覧およびその方法
本研究に関する資料(研究計画書など)の入手、閲覧を希望される場合は、下記の担当医師、もしくは相談窓口(12.研究対象者からの相談への対応)にご相談ください。その都度、可否を判断します。本研究の遂行の妨げにならない場合に限り、入手、閲覧が可能となります。
13.研究対象者及びその関係者からの求めや相談等への対応方法
本研究について何か分からないことや心配なこと、同意の拒否を希望されることがありましたら、いつでも下記の担当医師または病院相談窓口にご相談ください。
担当医師;京都大学医学部附属病院 呼吸器外科 助教 田中里奈
(Tel) 075-751-4975 (E-mail)satonat@kuhp.kyoto-u.ac.jp
京大病院担当者:京都大学医学部附属病院 相談支援センター
(Tel) 075-751-4748 (E-mail)ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp