患者さんへ 肺移植術前術後における血清CEA値の推移についての検討
致死的な慢性呼吸不全に対する治療として肺移植術がありますが、京都大学で年間20例以上行われております。
肺移植の適応として悪性疾患の除外が必須項目であります。そのため全例術前に血清中の腫瘍マーカーを測定しますが、高値の場合でも患者の全身状態によっては術前に追加精査ができない場合があります。癌胎児性抗原(Carcinoembryonic antigen, CEA)は腫瘍マーカーの一つですが、高値の場合、上下部消化管悪性腫瘍の除外が必要です。しかしながら肺移植術前には全身状態が悪く上下部消化管内視鏡検査等の追加精査が躊躇される場合があります。CEAは良性疾患でも上昇する場合がありますが、肺移植術前術後の推移を検討することで、その臨床的意義を示すことが重要です。そこで我々は当院での脳死・生体肺移植後患者さんの血清CEA値を解析し、今後の診断に役立てていきたいと考えています。
そのため、京都大学呼吸器外科では当科にて2008年8月から2017年6月までの間に脳死・生体肺移植を施行された方の臨床データ(病歴、術前検査、術後経過、病理組織等)を利用させていただくことといたしました。
これらの臨床データは通常に診療を受けていただく際に記録されるデータであり、この研究のために患者さんに追加で御負担いただき収集するものではございません。また、過去の診療記録から得られた資料を用いますので、同意書は頂きませんが、患者さんは匿名化され、プライバシーは保護されています。この研究で得られた結果は、専門の学会や学術集会に発表されることがありますが、患者さん個人に関する情報が外部に公表されることは一切なく、本研究により患者さんご自身に治療上あるいは社会的な不利益が生じることはありません。
患者さんには、臨床データ利用の目的と趣旨をご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。このような臨床研究に対してさらに説明を希望される方、また個人データの臨床研究への利用を拒否される方は当科データベース管理担当者(岡部亮:075-751-4975)にいつでもお申し出ください。なお、もし研究協力を拒まれたとしても患者さんに不利益は一切生じませんのでご安心ください。
・研究期間
倫理審査承認日〜2020年3月31日
・研究機関の名称
京都大学附属病院呼吸器外科
〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54
Tel 075-751-4975
・相談窓口
京都大学医学部付属病院 総務課 研究推進掛
Tel: 075-751-4899
E-mail: trans@kuhp.kyoto-u.ac.jp