我々京都大学呼吸器外科では、肺癌に対する外科的治療の発展とその成績向上を目標に、当院における肺癌手術症例について、以下の様な疫学研究（人を対象に健康に関わる要因を明らかにする研究）を行い、その詳細につき情報公開しております。

研究名：「体幹部定位放射線治療後にサルベージ手術を行った原発性肺癌の検討」

１．研究の意義
　肺がんは年々増加し、我が国の癌死の一位になっています。肺がんに対する根治療法としては、早期の肺がんは、肺切除術が最適の治療法とされ、十分な治癒率が得られています。しかしながら、高齢患者や併存疾患をもつ患者さんなど、全身状態から手術が選択しにくい患者さんも多数おられ、治療法には様々な工夫がなされているのが実情です。
　実際に、早期の肺がんでは、体幹部定位放射線治療（SBRT）などの非外科治療も選択され、良好な成績を示しています。しかし、SBRTにおいては、約10％程度の患者さんに局所再発のリスクがあるといわれています。放射線療法の進歩や普及により、SBRT後の局所再発肺がんに対して、根治を目指した手術（救済手術、または、サルベージ手術といわれます）を行うことが、近年出現しおり、今後、ますます増加することが予想されます。しかし、このような手術についてのまとまった報告は、ほとんどはなく、また、このような手術後の長期的経過を報告したものもありません。
　したがって、SBRT後に局所再発しサルベージ手術を行った患者さんの様々な特徴や予後について検討を行うことは非常に重要で、また、今後ますます増加すると思われる同様な医療に役立つと考え、本検討を立案しました。

２．研究の目的
　SBRT後の局所再発肺がんに対して、根治を目指した手術を行った患者さんについて、これまでのデータを集めて、検討します。

３．研究の方法と研究機関名
　2006年1月から2017年8月までの期間に、京大病院にてSBRT後の局所再発肺がんに対して、根治を目指した手術を行った患者さんにおいて、カルテなど既存の資料のみを用いた追跡による研究を行います。

４．研究実施期間
　倫理審査承認日から2020年7月末まで

５．利用する試料・情報の項目
　カルテなど既存の資料のみからの情報を使用して、後方視的に調査する。
　主要な観察項目を以下にのべます。
　イ）基本統計（性別、年齢、身長、体重、PS、既存疾患など）
　ロ）定位放射線治療に関するデータ（照射条件など）
　ハ）肺癌についてのデータ（SBRT時、再発時のデータなど）
　二）手術データ（癒着の程度、術式、出血量、手術時間など）
　ホ）予後データ（生死、再発の有無）

６．個人情報の保護
　この研究で得られた個人情報が外部に洩れることのないよう厳重に管理致します。本研究における各患者番号を新たに付し、患者さんの氏名やカルテ番号など個人が特定できるものはデータ管理において記載されません。また、研究成果の発表にあたっては、患者さんの氏名などは一切公表いたしません。
　データの保管期間に関しては、本研究が終了した後も10年間は厳重に保管させていただきますことをご了承ください。

　また、本研究にデータを使用してほしくないという希望のある患者さんにおいては、ご希望に沿いたいと思いますので、以下の連絡先にご連絡いただければ、対応させていただきます。なお、論文や学会発表などで、すでに結果発表されたものにつきましては、個人が特定できない場合には、期待に沿えない可能性があることをご了解ください。

　さらに、本研究において、患者さんに、追加の費用負担は一切発生しませんし、謝礼もございません。

　また、本研究は、倫理審査委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を受けています。

　本研究に対するご質問、ならびに、個人情報に関する問い合わせや苦情等については、以下の窓口にて、対応させていただきます。また、本研究の研究計画書および研究の方法に関する資料の入手・閲覧をご希望される場合は、下記窓口にご連絡ください（ただし、他の研究対象者等の個人情報及び知的財産の保護等に支障がない範囲内に限られます）。

連絡先：京都大学呼吸器外科　
研究代表者　伊達洋至
研究責任者　陳豊史
住所：606-8507　京都市左京区聖護院川原町５４　京都大学医学部附属病院　呼吸器外科　医局
電話：075-751-4975
FAX：075-751-4974
E-mail:rmiyoshi@kuhp.kyoto-u.ac.jp

連絡先：京都大学医学部附属病院　相談支援センター　
TEL　　075(751)4748
Email　ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp　

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