微小肺病変に対するバーチャル気管支鏡ナビゲーションを利用した術前気管支鏡下マーキング(Virtual Assisted Lung Mapping: VAL-MAP)についてのお知らせ
微小肺病変に対する外科的診断・治療に際して行われる術前CTガイド下マーキングは、空気塞栓による心筋梗塞・脳梗塞、出血、気胸の合併症が報告されており、部位による制限も多くありました。われわれは、これに代わる方法として、CT画像を基に3次元再構成したバーチャル気管支鏡をガイドに、気管支鏡下に染料(インジゴカルミン)を用いて術前マーキングを行い、さらに複数個所(2−5箇所)のマーキングを同時に施すことで、可塑性に富む「肺」という臓器の表面に角度、相対的距離といった位置情報を与える「マッピング」を行う技術を開発しました。我々はこの方法を Virtual Assisted Lung Mapping (VAL-MAP)と読んでいます。
本研究の目的は、バーチャル気管支鏡ガイド下気管支鏡下マーキング(VAL-MAP)法の安全性、手術補助手段としての有効性を評価することです。本研究の意義は、VAL-MAPの安全性、有効性を示し、実用化することで、従来のCTガイド下マーキングの危険性を回避し、また同法の限界を克服してより安全で確実なマーキング(マッピング)を施し、微小肺病変の外科手術の精度と効率をあげることを目標としています。
本研究の対象は、触知困難と予想される肺病変(高度な癒着が予想される場合を含む)、あるいは十分な切除マージンを確保するために、マッピングが有効になることが予想される症例となります。
本研究は2012年7月に開始され、当初2年間で40例を目標としていましたが、2013年5月予定より早く目標症例に達したため集積をいったん終了、同時に日本国内の複数施設との多施設共同研究(Multi-Institutional Lung Mapping Study: MIL-MAP Study)として再スタートしました。2013年6月現在、国内8施設が参加を表明しており、今後も参加施設が増える見通しです。現在のところ院内では、2014年3月まで、合計80症例の集積を目標としています。
本研究は人を対象とした一般介入研究であり、この方法により手術を受けられる患者さんにメリットがあると思われる場合にはその都度、主治医・担当医から説明をさせていただいています。本研究についての質問、お問い合わせは、実施責任者である佐藤雅昭助教(電話:075-751-4975)までお申し出ください。