2022年3月5日に開催された第115回日本肺癌学会関西支部会学術集会において、当科助教の豊洋次郎が優秀演題賞を受賞致しました。
手術の低侵襲化が進み、最近では従来の胸腔鏡手術だけでなく、ロボット支援下手術に加え単孔式手術(創部が一つ)を行われるようになりました。
鏡視下手術では、いわゆる「すりガラス陰影を呈し早期肺癌が疑われる小さな腫瘍」は十分な触診ができず、部分切除や区域切除によって小さく切除する際には腫瘍の位置が問題となります。
そこで、2019年9月に京都大学では世界に先駆けてRFIDマーキング(RFIDマイクロチップを用いた肺癌手術の臨床使用を開始 −微小肺癌のあたらしい術中位置同定方法− | 京都大学 (kyoto-u.ac.jp))の臨床応用を開始しましたが、2022年3月現在までで約100人の患者さんに手術を行いました。小さな腫瘍の場合、場所によっては小さな切除ができないことも経験しますが、京都大学では、できる限り患者さんに低侵襲かつ肺機能を温存した手術を提供するために、同方法を積極的に行っております。
本学会では、当院で今までに行ったRFIDマイクロチップを用いた手術が安全かつ有効であったことを発表致しました。本結果は世界からも注目されており、2021年の第101回アメリカ胸部外科学会(101st Annual Meeting of The American Association for Thoracic Surgery)でも取り上げられました(Feasibility study of a novel wireless localization technique using radiofrequency identification markers for small and deeply located lung lesions - JTCVS Techniques)。とても有効な手術方法ですので、現在全国の病院でも安全に行えるように普及活動も行っています。
今後も鏡視下で病変の位置が分かりにくく、切除が困難な病変をお持ちの患者さんが増えていくと思われます。京都大学で行っているRFIDマイクロチップを応用した手術が、皆さんのお役に立てるかもしれませんので、ご相談・ご質問などありましたら、当院外来を受診頂ければ幸いです。(授賞式の様子)